2006-06-04

6月(きものの伝説 三十三織のきもの)

むかし、むかし親切で働き者の夫婦いました。不運にも三人の子を幼いうちに亡くしてしまいました。夫婦は丈夫な子を授けてほしいと観音様に祈り続けていたある日の朝、観音様のお告げの夢を二人共に見ました。それは、「三才まで病なく育った子供の布を三十三枚集め、お前たちに授かる子の着物を縫って着せるよう」というものでした。
夫婦は喜んで朝晩拝んで働き、夜星の中を丈夫なお子のある家を、布を求めて隣の村、そのまた隣の村へと訪ね歩きました。集める布は残すところ一枚となりました。夫婦はある晩歩き疲れてある村のお堂の前で眠り込んでしまいました。すると誰かがよんでいるようで目を覚ますと、不思議なことにお堂から光が射しています。こわごわ覗くとお堂の中には、幼子を抱いた慈母観音が祀られ、その足下に一枚の布が置いてありました。観音様が授けて下さったに違いないと、夫婦は嬉し涙の中でその布を頂いて帰り、やっと三十三枚の布で観音様のお守り着物を縫い、間もなく授かった子はそれを着てすくすく育ちました。観音様の三十三枚織りの着物は、子宝を願う人達によって授かった子には必ず着せようという愛知県知多半島に伝わる伝説です。

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